壁装の調温効果

一口に壁装といっても,壁紙や下地の種類によってさまざまな仕様が考えられるし ,内装面積の大きさも,出入口や窓など,開口部の占める割合や他の仕上げ材料との併用などを考慮すると,いろいろに変化する。

気積率と言うのは, 空間の占める容積(気積)Vに対する 内装面積Aの割合 A/ V( m1 ) のことである。大きさ 6畳間位の部屋の床, 壁(開口部も含む)および天井の全内面に ,壁紙を張ったときの気積率を求めてみると ,約2となる。したがって,実際の室空間における壁装の気積率は, だいたい 2より小さな値と考えてよい。

壁紙の下地には合板とポリエステル化粧合板を選んだ。下地の影響の程度を知るには,調湿性に富むものと,きわめて調湿性に劣るものの,各場合について調べておけばよいであろうという考えからである。合板は調湿性能に優れ,ポリエステル化粧合板には調湿性能がほとんどないことがわかる。ポリエステル化粧合板を,それぞれ下地として壁紙を張った場合である。

オレフィン系(ポリプロピレン)の壁紙は,炭酸カルシウムその他の無機質充填剤を特殊配合し,微細な連続気泡をもつように加工することによって,吸放湿性を付与したとされるもの である。

まず,壁紙の種類による違いを見てみると ,下地の調湿特性がどうであれ,布壁紙が最もよく ,ついで紙壁紙,オレフィン系の壁紙の順となっている。

もちろん,先に述べたように,ビニール壁紙には,ほとんど調湿性は期待できない。 次に ,下地の影響を,対応する壁装を比較してみると ,いずれの壁紙も調湿性能に優れた合板を下地にした場合の方が,B値が大きくなっている。

つまり ,壁装の調湿性能は,下地の吸放湿性能に影響されるということである。気積率による影響は,ビニール壁紙のように調湿性能がほとんどない壁装を除くと ,壁紙および下地の種類に関わりなしきわめて大きいことが読み取れる。実際の室空間の気積率は, 2以下であるので,その影響は一層著しくなることがわかる。以上のことをまとめてみると ,壁装に調湿効果を期待するには,下地が決まっているなら,合成樹脂製品ではビニール壁紙よりもオレフィン系の壁紙を,そして合成樹脂系の壁紙よりも ,紙壁紙や布壁紙のような調湿性能に富んだ壁紙を選ぶ。