湿気の害

家の中で発生した湿気が,壁面や壁の中あるいは床下に回ってそこで結露すると ,著しい被害を及ぽすことがある。コンクリート住宅の直張り仕上げの壁や G工法で仕上げた壁にしみができたり ,カビが生えたり,あるいは北海道など寒地の住宅でしばしば発生しているナミダタケなどは典型的な例である。その他にも湿気によるトラブルは数え切れぬほどあって,一つ一つ例をあげたらきりがない。特に最近,このようなトラブルが頻発しているのは,住宅の気密化が進んだことと無関係ではなさそうである。すなわち ,住宅の気密化が進むと換気回数が減り ,湿気がこもりやすくなる。とくに大都市近郊では,住宅が密集して風が吹き抜けにくくなり,そのために,風圧によって促されてきた自然換気が減っているのではなかろうか。そのうえ室の中に木材や木製品など木質を表すことが少なくなったため,一時的に大量に発生する湿気を保持する夕ンパ能=調湿能が失われてしまったことも大きな理由であろう。

湿気は物の寿命にも影響する。湿度の変動幅が大き いと物の傷みが激しいといわれている。博物館には展示品を保存する収蔵庫があるが,そこでは恒湿が基本である。温度は一定に保つ場合と外気温に追随させる場合とがある。外気温に追随させるのは日本の伝統的な蔵の環境にならったもので,国立博物館などで実行されている。文化庁では博物館や資料館の収蔵庫など貴重品を保存するための施設を建設する場合には,床を木造床とし, さらに内壁を25~33mmの 厚さの板とすることを推奨している。木材のもっている調湿能を利用して室内を恒湿に保とうというわけである。

一般の住宅でも ,内装材と下地をうまく組み合わせれば,湿気のトラブㇽを少なくすることができるはずである。